こんにちは、小松﨑です。
新社会人の皆さんは、そろそろ仕事に慣れてきたころでしょうか?
仕事を進めるなかで、行き詰まることも増えてきたと思います。そんなときは、誰かに助言を求める必要が出てきますよね。会社という組織で働く以上、一人ですべてをこなすのは難しいものです。
「働くとは、はた(傍)を楽にすること」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。ここでいう「はた」は、一緒に働く同僚や上司のこと。そして「楽にする」とは、相手の望みを叶えることです。自分の仕事がうまくいけば、上司や同僚を楽にでき、ひいては会社の利益にもつながります。では、相手の望みを知り、叶えるためにやるべきことは何でしょうか?
僕は、それが聞くことだと考えています。
今回は、入社1年目の皆さんにこそ知ってほしい、聞くことの大切さと、その具体的なやり方についてお話しします。
聞くことは、コミュニケーションの出発点
相手の望みを叶えるには、聞くことが大切だとお話ししました。では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
まずは「上司はこの作業で、自分に何をしてほしいと思っているんだろう?」「それを叶えるには、どう取り組めば良いんだろう?」と、自分に問いかけて、疑問をはっきりさせてみましょう。このひと手間で、相手の要望を正しくつかむための質問がぐっと考えやすくなります。
そのうえで、直接聞きにいくことが大切です。同僚や上司の要望は、「聞く」というステップがあって、はじめて叶えられます。聞くことは、コミュニケーションの出発点でもあります。誰かが話していても、聞く人がいなければ会話は成り立ちません。会話が成り立たなければ、コミュニケーションそのものが壊れてしまいます。
SNS全盛のいまは、話したい人、主張したい人が増えているように感じます。主張したい人同士が同じ土俵に立つと、争いが生まれやすくなります。でも、聞く人が増えたらどうでしょう? 穏やかに話し合える場も増えていくと思いませんか? 会社という組織のなかでも、聞く技術を磨き、相手の話に耳を傾ける姿勢を持つことが、周りから信頼される土台になっていきます。
信頼される聞き方は「目的とゴールの確認」
では、信頼される聞き方とはどんなものでしょうか。やみくもに質問するのではなく、ポイントを押さえることで、自分にとっても相手にとっても役立つ情報を引き出せます。
そのポイントが、目的とゴールの確認です。目的、ゴール、やってはいけないこと、相手が描いている完成イメージ。仕事を頼まれたときに「これは何のためにやるんですか?」「何を達成できたら成果と言えますか?」と聞ける人は、現場でとても重宝されます。
会社の禁止事項やタブー、注意点は、「これやっておいて」の一言で済まされ、伝えられないことがほとんどです。忙しくて、丁寧に説明する余裕がない上司も多いんですね。けれども、それを知らないまま進めると、成果物がゴールからズレてしまいかねません。だからこそ、最初の段階で確認してくれる人がいると、上司はとても助かります。ゴールに沿った成果物ができれば仕事は前に進み、それが会社の利益にもつながっていきます。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがあります。聞く一瞬の勇気があれば、相手との間に強い信頼関係を結ぶことができます。
忙しそうな上司にも、怖がらずに聞きに行くには
とはいえ、忙しそうな上司を見ると、どうしても声をかけづらいものですよね。特に入社1年目は、仕事の背景まで説明してもらえないことも多く、それがまた「聞くのが怖い」につながりがちです。
でも、忙しい合間でも上司がさっと答えられる聞き方があります。
ずばり、一言で聞くことです。一言なら相手の負担も少なく、確認や返信がしやすくなります。チャットなら「これは何のためにやることですか?」くらい端的で大丈夫です。
背景の共有が何もなかった場合は、その仕事に対する自分の解釈を先に書いておくのも良い方法です。解釈がズレていれば、上司や同僚が軌道修正したり、補足したりしてくれます。
一方で、チャットより対面のほうが緊張する、という人もいると思います。チャットなら「これは●●ということですか?」と端的に投げかければすぐに返ってくる質問も、対面でいきなり聞くと相手を驚かせてしまうことがあります。そんなときは、質問の前に前向きな一言を添えてみましょう。たとえば進行中の企画について聞くなら、「面白そうなプロジェクトですね。これは〇〇のためにやるものだと思うのですが、この認識で合っていますか?」と切り出します。いわゆる「枕詞」ですね。
相手が受け取りやすい言葉を最初に置くことで、「応援しています」「味方です」という姿勢も伝わります。これも円滑なコミュニケーションに効いてきます。聞くとは、ただ質問することだけではないんですね。
いまはオンライン会議やチャットでやりとりする機会がとても多く、どうしても無機質で事務的なやりとりになりがちです。すでに自然にできている人もいると思いますが、こうした工夫を意識して取り入れると、より豊かな人間関係を築いていけるはずです。
「わからないフリ」は学ぶ姿勢を示せる
それでも、最初はやっぱり緊張しますよね。会議でなかなか発言できない。僕自身も、社会人になりたてのころはオドオドして、何も聞けないことが多くありました。そんなときに取り入れていたのが、わからないフリをして聞くことです。
緊張は、たいてい「失敗できない」「よく見せたい」という思いから生まれます。僕は取材のとき、事前に調べて頭に入っていることでも、「ここがよく分からなかったのですが、どういうことでしょうか?」と聞くようにしています。これが「わからないフリ」です。よく見せたいという気持ちを、聞くという行動に変えていくんですね。新卒の人から質問されると、多くの人は丁寧に教えてあげたいと感じます。「関心を持ってくれている」と、うれしく思うものなんです。
反対に、緊張して何も聞けずにいると、相手によっては「興味がないのかな」と受け取られてしまいます。大切なのは、まず相手に敬意を示すこと。「教えてください」「ここがすごいですね」と、感謝や敬意を先に伝える。敬意は、相手との関係づくりの土台になります。関心を持って学ぶ姿勢を見せることは、上司や周りからの信頼にも大きくつながります。その意味で、わからないフリは、気軽に取り入れられる姿勢のひとつです。
「わからないフリ」は認識のズレも減らせる
わからないフリが役立つ場面は、ほかにもあります。たとえば、上司に仕事の確認をお願いしたところ、「これは別の部署に詳しい人がいるから、そっちを通して」と言われたとします。こうした情報は、いわゆる暗黙の了解で、たまたま耳に入るか、自分から聞きに行かない限り知ることができません。実は、多くの会社ではこうした社内のルールや情報が明文化されていないんです。だからこそ、自分から聞きに行く必要があります。知らなくても仕事は回るのでは、と思うかもしれませんが、知っているかどうかで仕事のしやすさはまるで違います。
最初から詳しい人を知っていれば、余計な人を挟む手間が省け、早く解決できます。ここにテクニックはいりません。「これに詳しい方はいらっしゃいますか?」とストレートに聞くだけで十分です。とにかく「人の情報」を得ることがポイントです。こうした暗黙の了解を知らないと、承認をもらうべき人から承認をもらえておらず、仕事が止まってしまう、ということも起こります。明文化されていないだけの情報なら、直接聞いて手に入れる。このスタンスが、お互いの認識やゴールのズレをなくし、仕事の成功につながっていきます。
聞く力は、関係づくりの力
ここまで、聞く力の大切さと、具体的な実践方法についてお話ししてきました。
聞く力がいちばん役立つのは、人との関係づくりです。関係は、すべての仕事の基盤です。その基盤を強くするには、相手の「好きになれるところ」を見つけていくことが大切です。好きになれるところが見つかると、そこから敬意が生まれます。そして、それを見つけられるようになると、聞く力も自然と伸びていきます。そのためにも、まずは相手のことを事前に調べたり、聞いたりするところから始めてみてください。
もう一つ意識したいのが、相手の「ない」部分ではなく、すでに「ある」部分に目を向けることです。パートナーとの関係にたとえると分かりやすいかもしれません。「家事をしてくれない」「LINEの返信が遅い」と「ない」ばかり数えていると、むしろ嫌いな気持ちが募っていきますよね。そもそも、欠けたところがひとつもない完璧な人はいません。「誕生日には必ず一緒にいてくれる」「いつも自分を優先してくれる」。そんなふうに「ある」ところを見つけてみてください。すると、そこに感謝や尊敬の気持ちが生まれてきます。
終わりに
ここまで、新卒1年目の皆さんにこそ聞く力を身につけてほしい、というお話をしてきました。
僕が社会人になって間もないころ、取材で島根県の海士町(あまちょう)を訪れる機会がありました。そこで感銘を受けたのが、海士町が掲げる「ないものはない」という言葉です。「なくてもよい」、そして「大事なものはすべてここにある」。島にすでにあるものを見つめ、それをぐっと伸ばしていこうという思いが込められています。コンビニもない、あれもこれもない、と言われる島で、いまあるものを大きな価値に変えていく。その姿勢に心を動かされました。
皆さんもぜひ、周りの人の「ある」を見つけて、好きになって、聞く力を伸ばしていってください。そして、少しでも楽しく仕事に向き合えるようになれば、うれしいです。
相手の「ある」を見つけ、聞くことで引き出す。これは、私たちエドゥカーレが仕事でいちばん大切にしていることでもあります。私たちは、経営者の話を聴き、その会社にすでにある魅力を、そっと引き出す仕事をしています。