こんにちは、小松崎です。
文章を書く時、どう書けば上手く見えるだろうと、誰もが一度は考えた経験があるかと思います。
例えばビジネスの場面での文章。メールや資料作成で、どのように書けばいいか分からない、伝えたいことが多すぎて文章が長くなる、センスが無ければ上手な文章は書けない…など。新社会人の方々や若手のビジネスパーソンの方々なら、一度はお悩みになったことがあるのではないでしょうか。
私自身もこれまで記事を書いてきて、伝えたいことをたくさん詰め込んでしまったり、自分の思いを優先してしまったりすることがありました。独りよがりな文章になっていたんですね。
しかし皆さんにお伝えしたいことは、上手な文章作りにおいて、必ずしもセンスや秀でた能力を持ち合わせている必要はないということです。
今回の記事では、上記の悩みをパッと解決できる方法や意識すると良いことなど、私の経験も踏まえつつ、新社会人や若手のビジネスパーソンの皆さんに向けて、お伝えできればと思います。
良い文章とは、“うまい言葉”ではなく、伝わる文章
良い文章を書く上で気を付けると良いこと、まず一つは全体をとにかくシンプルな文章構造にすることです。
良い文章と聞くと、短い言葉で相手におおっ、と言わせる、心動かすものだと考える方もいらっしゃると思います。しかし短く刺す文章よりも、全体で見たときにシンプルにまとまっている方が、“良い文章”と感じてもらいやすいのです。
ではシンプルな文章とは、どのようなものでしょうか?
まず、一文の中の修飾語や説明の語が少なく、主語と述語が離れすぎていません。25~30文字の短文であることがほとんどです。「このTシャツは徳島県の藍染職人がつくりました」という文章で考えてみましょう。誰が何をつくったかはっきりしていますね。これを装飾盛りだくさんにしてみましょう。
「このTシャツは栽培から藍染職人がやり始めて、シワも付きにくくて洗濯がしやすくて、職人が徳島にいて、それで作られている」
といった文章が考えられます。皆さん、どのような印象を抱きましたか?
きっと、どんなTシャツなんだよ、と思った方が多いのではないのでしょうか。このような文章は、細かい箇所を説明しようとしすぎていつ終わるんだよ、と相手に思わせてしまいます。
サッカー選手で例えてみましょう。一方は、フェイントなどの細かい技は上手いけど、体力や走力がない選手。もう一方は、走力も体力といった基本がしっかりしている選手。スタメンで試合に出すとなれば、後者が圧倒的に選ばれやすいですよね。つまりは、一部が抜きん出ているよりも、全体的にバランス良く単純な部分がしっかりしている。そういった文章の方が、頭や心にすっと入ってくるものなのです。
つまりは、一文一文が短く、かつ情報量が詰め込まれすぎていない。そのようなもので構成された文章が読みやすく、頭にすっと入りやすいのです。
また良い文章は、主張→理由→エピソード→ワンメッセージという流れを一貫しています。上手に書きたいと思うと装飾をしがちで、あれも入れたいこれも入れたい、と意識しすぎて重たくなってしまいます。
しかしシンプルな文章は、捨て、絞り、削ぎ落されています。また、情景がしっかり目に浮かぶけど、外来語が避けられているなど優しい言葉で書かれている。さらに、読む人が息継ぎできる箇所がたくさん用意されています。また、大事なところはリフレインされているんです。
ここで皆さんは、じゃあ必要な情報だけ残していくにはどうすればいいんだろう、とお悩みになるかと思います。ここからは、情報量の上手な削り方について次のパラグラフから詳しくお話していきます。
伝わる文章を書くためには、目的とゴールを決める
さてここからは、読む人にとって必要な情報だけを残せるようになるために、何をするべきかについてお話していこうと思います。これまでの記事でもお伝えしてきましたが、書く上でも大事にするべきことは共通しています。
それは、目的とゴールを決めること、そして見る人のニーズを考えることです。
まず、何のために伝えるか、を考える必要があります。なぜメールや報告書を書く必要があるのか、この企画書を書く必要があるのか…。それは、その背後に目的があるからです。
具体的に考えてみましょう。メールであれば、相手に何をしてほしいか?企画書であれば、何を相手に判断してほしいか?報告書であれば、何を相手に共有したいか?と自分の中で問いを立ててみてください。その問いをもっと詳細に詰めてみると、メールも報告書も、上司が判断しやすくなるために必要な情報を伝えなければならない、企画書であれば、相手が企画の価値を判断できる情報を載せなければいけない、という段階に行きつくかと思います。
社会人になると、文章を書く目的は自分の思いを書くことだけではなくなります。そのため文章を書き始める前に、誰に向けた文章なのか、読んだ相手に何を理解してほしいのか、読んでもらったあとにどんな行動につなげてほしいのか、を整理することが大切です。なんでも目的とゴールを設定すれば、それに沿われている情報だけを取捨選択できるようになっていきます。
伝えたいことを届けるために、“削る勇気”を持つ
また、もっとできるようになると良いことは、その中で自分だけにしか話すことができない情報をしっかり選別できるようになることです。その情報には希少性があります。希少性がある情報は、見る人にとっての有益な情報です。
ただ、そのような情報を抜き出すのは、相手のことでも自分のことであっても、なかなか難しいんですよね。私自身もライター塾でよく、話のどこを削ればよいか分からない、と相談を受けます。具体的に一つの文章で、必要な情報を抜き出す練習をしてみましょう。
私のことで例をあげてみます。私は過去ドイツに住んでいました。しかし、英語があまりできなかったんです。そのため仕事上、つまりは現地の方々にインタビューする上で非常につまずいていました。なので、私は英語ができるようになるのではなく、英語ができなくても現地の方々にインタビューできるような方法を編み出しました。
この文章の中で、希少性のある文章はどこでしょう?
それは、「英語ができなくても現地の方々にインタビューできるような方法を編み出しました」の部分です。この経験は私にしか語り得ません。さらに、英語ができないけど海外の方にインタビューしたい、という読者の方に有益になってくる情報にもなっています。
編集者はそういったものを“与える”お仕事でもあるのですが、何を有益な情報として提供できるか、という視点がないと、思いを一方的に詰め込んだ文章になってしまいます。私自身も編集者になりたての頃は、よくやってしまっていました。
ここでお伝えしたいことは、自分の中のことでも珍しい経験を探せということではありません。たくさんある情報の中でも、書いている自分だからこそ伝えられる視点や、相手にとって有益であったり、判断できる情報に価値があるということです。この情報を見極めて、残せるようになると、必要な情報も詰まっていながら、簡潔で理解しやすい文章を作れるようになります。まずは希少性のある情報を見極める視点を磨き、書き始める前に「誰に、何を、何のために伝えるのか」を整理してみてください。そのような小さな準備が、読む人に届きやすくなる文章の第一歩になります。
迷った時は、文章の“型”を作ってみる。
さて、ここまで書く力についてまとめてきました。
良い文章を書くために、書く力そのものを伸ばす必要は必ずしも無いということが、皆さんにも伝わったのではないかと思います。良い文章を書く上では、たくさんの情報をいかに整理し、どういう風に、どういう順番で組み込んでいくか、が一番大切です。
そのために皆さんに是非やっていただくと良いことがあります。それは、マインドマップのツールを使用し、自分だけの文章のテンプレートを作ることです。
例えば、ビジネスメールを書く時。まず「お世話になってます」という項目を設定します。そこに一本の線を引いて、その先に、何に対して感謝しているか、内容を書いていきましょう。さらに、「その理由は●●です」といったことをつなげていきます。そして、「今回の要件は●●で、●●という相談をしたいです」という項目を設定し、その先に具体的な相談内容を書いていきましょう。このような感じにマインドマップ化していくことで、項目もそれに繋がる内容も可視化できます。これは、自分がその文章にどのような内容を書けているか、といったチェックリストにも応用できます。
また、どんな人でも読みやすいと思う文章構造のテンプレートもたくさん存在しています。それを活用すれば、自分の情報を当てはめていくだけで、どんな相手も分かりやすいと思う文章を書くことができます。元々文章を書くのが苦手な人にとっては、とても便利に感じていただけるかと思います。こうした型を作ってみることで文章の生産性も上がりますし、何より全部同じ程度の品質で文章を生み出すことができてしまいます。テンプレート作ることは、ビジネスの場面でも何においても活用できます。
最後に
ここまで、良い文章を書くために意識することについてお話してきました。
文章力と聞くと、特別な表現力や言葉選びのセンスが必要だと感じる方もいらっしゃったはずです。しかし大切なのは、難しい言葉を使うことや、たくさんの情報を詰め込みすぎないことです。
誰に何を届けたいのか、という目的を整理し、読む人にとって必要な情報を選び取ること。それこそが、読む人に届く文章につながっていきます。
最初から完璧な文章を書こうとしなくても良いのです。まずは目的とゴールを決めること、そして型を活用しながら、伝えたいことを整理するところから始めてみてください。
小さな意識の積み重ねが、仕事でのコミュニケーションや自分の考えを伝える力を高めるきっかけになっていきます。