こんにちは。小松崎です。
皆さんは、企画を考えてきてくださいと上司や先輩に言われた時、どのように感じることが多いでしょうか?
誰も思いつかないようなことを考えないと、驚かせるような発想をしなきゃいけない、このように、企画を立てることにプレッシャーを感じる方が多いかと思います。
私自身も、編集者として働き始めの頃は、企画作りで非常に苦しんだことがありました。しかし、経験を重ねてきて言えることは、良い企画というのは何もないところから生み出されるものではありません。良い企画作りは、その企画を提案したい相手の思いや課題、本音を引き出すことから始まります。
今回は、そのような企画作りのために必要な考え方や、明日から実践できる情報の集め方についてお伝えしていこうと思います。新社会人の方々、若手のビジネスパーソンの方々が、少しでも楽しく企画作りに向き合えるようになれれば幸いです。
日々の気づきを整えることから始まる企画作り
さて、冒頭の方でもお話ししましたように、私自身も企画作りでは苦労してきましたし、大変な思いをしてきました。
現在の私は、あることを心掛けるようになってから企画作りが少し楽しくなってきたんです。それは、ポケットサイズのメモ帳を持ち歩くようになったことです。思い浮かんだものをいつでも書き留められるようにするためです。そして、書き留めたメモをちぎり、悩みやアイデアといったジャンルごとに分け、引き出しのたくさんある木箱に入れています。
なぜそのようなことをするようになったか。当時の私は、普段から⽣活の中で、●●なことに問題や課題があるように思えるな、や、みんな●●ということを当たり前に思っているけど、自分は違和感感じるな、といったことを考えている余裕がありませんでした。目の前の仕事を覚えるのに精一杯だったんです。そういう状況だったので、好きな雑誌の特集を見よう見まねでなぞることしかできない時も、正直ありました。⾃分の中に蓄えやアイデアを持ってなかったので、何か持ってきてねと急に⾔われた時に出せないというのが、当時の弱みだったんです。
メディアの編集者としての仕事を始めたばかりの頃、企画を各編集者ごとに持ち寄りましょうと⾔われたことがありました。お題が与えられず、自由に特集の企画を持ってこい、というスタンスだったので、何を考えればいいのか分からなくなっていたんです。次の日になっても考え続けて、とにかく⼀⽣懸命アイデアを出さなきゃと思い、「BRUTUS」などのマガジンハウスの雑誌をたくさん読みました。どういう特集が組まれているのかを調べて、その上で頑張って絞り出そうとしていました。
このような経験をしてきて言えることは、企画をフレームワーク化して整え、考えていく前の種に関しては、目に見える形で管理しておくと良いということです。つまりは、自身の仕事にも活かせそうなアイデアや悩みを、簡単にメモしておいてみるんです。
私自身が新社会人の頃、余裕が無くてできなかったので、もしかしたら皆さんもキツいと感じられるかもしれません。コーヒーを飲んでいる時、お風呂に入っている時…そのような時にもふとアイデアは降りてくることがあります。そのような時に、スマホのメモ帳に断片的にでも良いので書いておけば、後々の自分を救うキーアイテムになるはずです。
普段の⽣活の中で常にメモできるようにしておき、メモしたものを保存・整理して、いつでも引き出せる環境に置いておく。企画をまず生み出すためには、この流れが大切だと私は思っています。
相手が向かいたい場所への道筋作り、それが“面白い企画。”
悩みから生み出される企画の⽅が面白いのか、あるいは課題と感じたことから生み出される企画の⽅が⾯⽩いのか。どちらの方が面白いのかは、その会社や職種によっても変わってきます。
ただ一つ言えることとして、面白い企画というのは、クライアントの求める要件や課題を解決できる道筋がしっかり定められているものだと、私は考えます。欲しい結果があり、KPIがあり、それを達成するためにはどのようなことを⾏えばいいのか。課題解決という⽬的地に向かうための道筋が企画なのだと思います。
例えば美術館の展⽰を見たり、詩を読んだりしたとき、●●だと思っていたのを代わりに⾔ってくれた、と感じられる瞬間がありますよね。こういったクリエイティブなことから生み出されたものは、見た人のニーズを満たしている分かりやすい事例です。しかし各ビジネスの現場で、そのようなクリエイティブなことに携われる人は正直かなり少ないです。
そこで、皆さんが今、紙媒体のパンフレットを作っているとしましょう。ただし、周囲の人々も薄々、アプリにしたらいいのにと思っていたとします。この時、皆さんが周囲の人々を分析すれば、アプリへの転換を提案できますよね?すると、周囲の人々のニーズを満たせるものを作ろうと、話が進んでいくわけです。
ここで言いたいのは、面白い企画を立てる上では、クライアントからの要件を定義することが非常に大切であるということです。市役所や民間企業であれば、上司や他社というクライアントがいます。企画を立てろと言われているからには、その企画でクライアントが達成したい目的や結果が勿論あるわけです。
つまりは、企画というものは、目的地に向かうための道筋に近いんです。Googleマップである所まで⾏きたいとルートを調べたとき、第1選択肢、第2選択肢と提案されますよね。この時に自分自身で第3選択肢を出してみるような感じです。この第3の選択肢を出せるかどうかが、面白いと言われる分かれ目になると思っています。
“面白い企画”というものは、突然一個思いつくというよりも、クライアントの求めているものや目的を自分なりに考え直し、達成していけるもの、であると私は思います。企画と聞くと、皆さんはクリエイティブなものを要求されたり、アイデア勝負のように考えたりするのではないでしょうか?
ここで、改めて“企画”という意味について整理してみましょう。調べてみますと、“企画”という言葉はそもそも、目的に向かうための計画や枠組みを作ることを表すそうです。
これを踏まえると、過去の自分は、本当に必要とされているものを提案できていなかったなぁと思ってしまいますね。
実は、皆さんが嘆いてしまうかもしれないことがあります。それは、企画にはある程度正解の枠組みがあることです。世の中には、0から⾃由にやれるものがあまりありません。必ず頼んでくれる⼈がいますよね。その方々は、ここは絶対に外さないでねという条件を持っていたり、こういうものが欲しいというイメージを具体的に⾔っていたりすることがあります。
ただ、数⽇考えていると、要望をどんどん忘れてしまうし、離れていってしまいます。結構あるあるなことではないでしょうか。最終的に、⾃分が⾯⽩いと思える方向にシフトしてしまっていて、提案した結果却下されてしまう…私も何度も却下されてきました。
良い企画を作るために、まず“聞く力”を磨いてみる。
何度も却下され、その過程で私が磨いてきたものがあります。それはずばり聞く力です。聞く力については、過去に記事にしているので是非読んでみてください。企画作りの上でも、この聞く力は非常に有効なものになってきます。
具体的なやり方としては、打ち合わせの最初にお話をしっかり聞き込むこと。そして、最初に提案書を作り込んで、その内容に沿って聞くということです。これから書いていくことは、実践しやすいことだと思うので、是非参考にしていただきたいです。シンプルな方法ですが、必要な情報をしっかり引き出すことができますよ。
企画を立てる上では、クライアントから最初のうちに情報を深掘っておくことが⼤事になってきます。投げやり気味に「企画を出して」と⾔われても、私は最初に、制約条件はありますか?というように聞いています。すると、●●なことは絶対やりたくない、と言ってくださることがあります。こうすることで、相手にとって嫌な提案をするという最悪な事態を避けることができます。
次に、目的やゴールを聞いてみましょう。そもそもどこに皆さんは向かいたいですか?どんな未来を作りたいですか?そのために現在していることはありますか?といったことです。そうすると、●●なことをやっています、と色々お話してくれます。
その上で、では今やっていることの課題点って何がありますか?や、今期のターゲット、焦点、⽬標地点はどこですか?と聞いてみる。全然決まってないと言う方もいますが、さらに、社内では今どのような制約条件がありますか?と問いかけてみましょう。すると例えば、やりたいことがあるのにリソースが全然⾜りていなくて、社内で動かせないんだと、会社の予算感や規模感、一番優先していることをお話してくれます。
最初に明確に定義しておけば、企画の方向や目的のズレを絶対に防ぐことができますし、実現可能な計画の枠組みを立てられるんです。これをしないと、⽀援に回るこちら側の認識もズレてしまいます。要件定義はそのようなことが起こらないための目印になります。クライアントが拒否した提案があったとしても、「●●をしたくない気持ちもわかりますが、●●な未来のためにやっているのであれば、このようにすると⽬的地に辿り着くことができると思いますよ」といったことを⾔えるようになるのです。
つまり、はい分かりました、と鵜呑みにし続けてきた世界から抜け出すことができるわけです。企画を⽴ててきて、と⾔われる背景には達成したい”何か”が存在しています。相⼿に深く質問をすることは、良い企画を生み出すきっかけになります。新社会⼈や若手のビジネスパーソンの方々が、企画作りでつまずかないようにするためには、何でも鵜呑みにしないことです。
ただ社内の雰囲気が緊迫していたり、上司の機嫌が悪かったり…質問をできる勇気が湧かないこともありますよね。そこで一つ、持っていると良いマインドとしては、選択肢として念のため聞いておく、ということです。結局のところ、悪い企画や却下される企画は、どこかズレています。良いアイデアでも目的が明確じゃないものは、本当に良いアイデアにはならないんです。なんでそれを私たちの会社でやる必要があるの?という⽬的がやはり⼤事になってきます。
要件定義をちゃんと行って、⽬的の根っこの部分をしっかり言語化しておきたい。そのために聞いておく。という心持ちでいると、少し楽に質問ができるようになりますよ。
自分で考える前に、まず相手の中にある答えを見つけに行く。
改めて、新社会人の方々が明⽇からすぐにできることをまとめますと、上記のように、項目を設定して質問していく、ということになります。聞くということは、どんな物事においても初歩的な⽅法であると私は考えます。
聞くことに怖気ついてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、その時はリスク回避のためにと思って聞いてみましょう。本来の答えは、⾃分が持ってるわけじゃなくて相⼿が持っていることがほとんどです。
最近、会社でとある企業のロゴのリニューアルを担当させていただきました。その上で、この会社は地域にとってどういう会社で、どういうものを提供しているのか…といったことを相手方にとにかく質問させてもらったんですね。自分達だけで進めていくと、その会社のやってきたことと全く真逆のコンセプトになってしまいかねません。なので、自分たちがどういう存在で、どういう⼈物像なのかといったブランドの⼈格やコンセプトも、全部お話の中で引き出し、再解釈して意味付けをしていくといった形で進めました。
またこれも、皆さんに企画作りで活かしていただけるかなと思うのは、その会社の商品を使用する人やカスタマーの方にインタビューを行ってみることです。会社の顧客やファン一人一人にインタビューをして分析し、その方々がどんなことを目的としていて、どんなことに価値を感じているのかをレポートにまとめるんです。すると、その会社の価値を簡単に導き出せます。突発的なアイデアは再現性が無いですが、このような方法で情報を取得し、形にしていくやり方は再現性が非常に高いのです。
このカスタマーインタビューまでやられている会社は、1割にも満たないほど少ないと思います。なので、企画作りにおいても、まずカスタマーインタビューを行って分析をしてみることはおすすめです。実際の仕事でも、良い企画を作るためにはお客様や利用者の声を聞くことが大切です。自分達だけで考えるのではなく、相手が何を求め、どんな価値を感じているのかを集めることが、企画の材料になります。
皆さんも、突然提案することから入るのではなく、まず聞くことを挟んで、情報を取りに行くことから始めてみてください。クライアントやお客様の本当の声が、良い企画の種になってくれるはずです。
最後に
いかがでしたでしょうか。企画作りは特別な才能やセンスを要している人が強い、という印象が覆りましたでしょうか。
良い企画は、突然ひらめくものではありません。実は、相手の思いや課題の中から見つけ出せるものなんです。
自分だけで答えを出そうとするのではなく、まずは相手に聞いてみる。そして、相手が何を大切にしているのか、何を実現したいのかを知る。その積み重ねが、誰かに必要とされる“面白い”企画になっていきます。
新社会人や若手ビジネスパーソンの皆さんも、まずは日常の違和感を書き留めること、そして相手の声を聞きに行くことから始めてみてください。そこに、次の“良い”企画の種が眠っているかもしれません。