島根県には、美しい自然が広がっています。森林率は78%で、全国でもトップクラスです。でも、島根県の木材、とくに広葉樹の利用はまだ発展途上です。
昔、日本全国で杉やヒノキなどの針葉樹を育てる計画が進められました。でも、島根県ではその計画があまり進みませんでした。その結果、広葉樹が多く残る地域になったのです。
島根県は、広葉樹の多さでは全国6番目に入ります。それなのに、その多くがチップにされて火力発電に使われています。実際には広葉樹の約90%が木材チップ化されています。この現状を変えて、もっと価値の高い使い方を目指すことが課題です。

広葉樹は形が複雑で扱いが難しい木です。そのため、利益を出すのは簡単ではありません。それでも私たちが広葉樹を選ぶのは、山や林業を守るためです。
広葉樹にはいろいろな種類があります。その魅力はたくさんあります。たとえば、美しいデザインです。精巧な製品やお店の内装に使うのにぴったりです。実は、私も自分の家の床を広葉樹でリフォームしました。そのとき、美しさや心地よさを実感しました。
私たちの目標は、島根県の木材、とくに広葉樹をもっと使ってもらうことです。それによって、地域の木材を循環させることができます。地元の木材を積極的に使えば、森林資源を守れます。そして、それを次の世代につなげられます。

島根県には製材所や木材に関わる仕事をしている会社もあります。しかし担い手不足が深刻です。この問題が業界の成長を妨げています。林業に関わる人は減り続け、森の活用も一部に偏っています。
私たちは、この問題をよく理解しています。林業の現場から製品が届くまでの流れを見える化しようとしています。その上で、新しい仲間を増やすネットワークを作りたいと思っています。
静岡県の県庁職員が島根県を訪れたとき、「広葉樹の活用が進んでいない」と言われました。この言葉に、私も深くうなずきました。広葉樹をもっと活かすには、地域全体で森を生かす計画も取り組みも必要だからです。
次回は、『iyasaka』のブランドでどのようなものづくりをしているのか、具体的な事例をご紹介します。お楽しみに。