「持続可能な地域はどうつくる?」─星野恵美子×鈴木大介が語る農業とエネルギーの可能性

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『このままでは那須の未来に希望が持てない』と危機感を抱き、行動を起こしている二人の先駆者がいます。

鈴木電機の代表でもあり、那須野ヶ原みらい電力株式会社とNPO法人1000年の森を育てるみんなの会の代表を務める鈴木大介さん。そして那須野ヶ原土地改良区連合専務理事として地域の水資源を守り続ける星野恵美子さんです。

自然豊かな那須の風景と、そこに根ざす地域の人々の暮らしをどう守り、育んでいくか。

対談では、再生可能エネルギーの活用や農業の発展など様々な観点から、那須の自然と人々の暮らしを守るための具体的な取り組みが語られました。

どんな地域でも応用できる知見です。ぜひご覧ください。

星野恵美子

1950年、栃木県出身。
役場職員を経て、那須野ヶ原土地改良区連合へ就職。事務局長、参事を歴任し、平成30年より専務理事に就任。

鈴木大介 / 鈴木電機株式会社および那須野ヶ原みらい電力株式会社 代表
鈴木大介

鈴木電機株式会社および那須野ヶ原みらい電力株式会社 代表
1979 年那須塩原市生まれ。武蔵工業大学(現:東京都市大学)卒。博士(工学)。 2017年 鈴木電機株式会社の代表取締役社長に就任。 2022 年 那須野ヶ原みらい電力株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。特定非営利活動法人 1000 年の森を育てるみんなの会の代表も務める。

自分が次の時代に繋がなければという使命感

――まずはお二人の出会いから教えていただけますか?

星野恵美子さん(以下、星野) 鈴木さんとの出会いは、彼が大学生のころに私どもの事務所にひょっこりいらっしゃった時でしたね。

私たち那須野ヶ原土地改良区連合(以下、土地改良区連合)は、日本三大疏水の1つである那須疏水を管理していますが、一緒に何かしたいんだと、突然やって来られたのが最初の出会いでした。

鈴木電機の創業者であるお祖父様のお仕事の話や、自分はこの地域で生まれ育ってきたからこの地域の活性化のために何かしたいんだ、という想いを熱く語られていましたね。

鈴木大介さん(以下、鈴木) 私は、農業向けポンプ設置業を通じて、かつて荒地だった那須野ヶ原に水をもたらし、豊かな田園風景へと変えてきた祖父の背中を見て育ちました。そして、そんな祖父や那須野ヶ原総合開発事業を推し進めた、地元の政治家であり土地改良区連合の元理事長でもある渡辺美智雄さんのように、私も次の時代をつくりたいという想いを持っていたんです。そこで、地域づくりも含めて何か自分にできることはないかと思い、星野さんを訪ねました。

星野 「こんな風に地域の未来をつないでくれる元気な青年がいるんだな、ありがたいな」と思ったことを今でも覚えています。

――星野さんは何がきっかけで那須野ヶ原土地改良区で働くことになったのでしょうか?

星野 私はもともと行政の仕事をしていたんです。ただ、当時は小心者で人見知りが激しかったものですから、人がたくさんいる町役場で働くのは自分に合っていないのかもしれないと感じていました。そんな時に土地改良区連合で働いてみないかと声をかけられたんです。そこでは一人で働けると聞き、人見知りの私にはぴったりだと思い、喜んで働き始めました。

でもよく考えたら、一人で働くということは、自分が何でもやらなきゃいけないってことなんですよね。しかも土地改良区連合は農業団体なのに、私は農業の知識はゼロ。まずは六法全書などの法律を学び、その枠の中でどうすれば仕事の幅を広げられるのかを考え、試行錯誤を重ねてきました。

そして、仕事を通してこの土地や那須疏水の成り立ちを知っていくにつれ、那須のために尽力された先人たちの想いが私の中にグサグサと入ってきたんですよね。草木も育たないガラガラ石ばかりの土地に、水を引いてきて人を住まわせようといった想いがどれだけ深いものかというのを感じとりました。

その努力や想いを知った以上は、彼らが大切に受け継いできた水資源を次の時代に自分が繋いでいかなければ、という使命感が芽生えたんです。現在は、その大切な水を活かして、次の世代に引き継いでいく仕組みづくりを日々考え、実行しています。

鈴木さんは私からバトンを受け取ったと言ってくれましたが、私の場合は明確に誰かから託されたわけではありません。しかし、今振り返ってみると、土地改良区連合の仕事を通じて渡辺美智雄さんなどの先人から、バトンを受け取っていたんだなと思いますね。

――星野さんは、土地改良区連合で具体的にどんな活動をされてきたのでしょうか?

星野 そもそも土地改良区連合の仕事というのは、国や地方の補助金や農家の方々が納めている賦課金を財源とした土地改良施設の管理が主体です。

しかし、過去にはお米の値段の低迷などにより、農家の方々が賦課金を払う余裕がない時代がありました。それでも土地改良施設の管理は欠かせません。管理がおこなわれないと、この地域の水循環システムが成り立たず、農業ができなくなってしまうだけでなく、究極的には地域に人が住めなくなってしまうからです。

そこで私は、農家の負担を軽減しながら土地改良区連合の持続可能な運営費を捻出するために新たな財源を模索し、代々守ってきた水や水路を活用した小水力発電に辿り着きました。水力発電で生まれたエネルギーを売ることで六次産業化をおこなったんですね。そうして、売電収入を得ることにより農家の方々の賦課金を減らすことができたんです。

鈴木 お一人で、知識もない状態から仕組みを作ることは、非常に難しいことだと思うんですよ。星野さんと出会ったのはまだ20代でしたが、その過程を横で見せてもらえたことは貴重な経験です。

農業×エネルギー生産で“那須モデル”確立へ

ーーお二人は、今後那須野ヶ原でどんな取り組みが必要だと思われますか?

星野 100年以上前から続く那須野ヶ原の開発は、印南丈作さんや矢板武さんが那須疏水を開拓した第1期から始まり、渡辺美智雄さんが主導した那須野ヶ原総合開発事業の時代が第2期、そして地域の新しい農業を育もうとしている今が第3期目だと思っています。これからは、農業とエネルギーの掛け合わせにも挑戦してほしいんです。

私は今、農業の衰退に危機感を感じています。ある調査では、このまま農業人口が減り続けたら、深刻な食糧難が起きてしまうというデータもあるぐらいです。農業人口が減り、農地も減り、食料を自給できなくなってようやく動き始めても、荒れ果てた農地を再生させることは簡単ではありません。だからこそ今すぐに、動かなくてはいけないんです。

鈴木 最近は、米の価格高騰も問題になっていますよね。そのうち日本米が食べられなくなる時代が来るのではという危機感が私にもあります。農地というのは地域の財産なんですよね。だからそれを次世代に引き継ぐためにも農業を活性化させなければいけない。そのためにはまず“儲かる農業”の仕組みをつくることが大切だと考えています。やっぱり儲からなければ人は集まらないですし、なかなか継続できないので。

だからこそ、これまで培ったエネルギー分野での経験と農業を掛け合わせた、那須ならではの新たな仕組みのモデルケースをつくることができたら、それは那須に大きな価値を生むことができるんじゃないかと思っているんです。

エネルギーと農業を組み合わせた例としては、デンマークなどで農業と兼業で風力発電を行っている農家がありますよね。また、群馬県上野村では、バイオマス発電で発生した熱を利用してキノコ栽培が行われています。これは、発電時に生じる廃熱を農業に活用することで、エネルギーの無駄を減らしながら収益性を高める、理にかなった仕組みです。那須でも、こうしたモデルをつくれたらと思っているんです。

那須には、水力発電の設備があり、那須野ヶ原みらい電力でも再生可能エネルギーの開発を進めようとしています。また、実は東京から新幹線で1時間ちょっとという観光で訪れやすい場所でもあります。こうした環境を活かせば、エネルギーと農業、そして観光までも組み合わせた新たな取り組みが近い将来きっとできると思うんです。

星野 仰るとおりですね。那須にはみらい電力があるのでソーラーシェアリング(農地に太陽光パネルを設置し農業と発電を両立する取り組み)も実現できると思いますし、水が豊かな土地を活かせばレタスの水耕栽培なんかもできると思うんです。だからぜひ那須モデルを、鈴木さんに作ってほしいですよ。

何より大事なのは、1歩でも半歩でも進めること

鈴木 那須モデル、作りたいですね!地域を支える農業を担いたいですが、そのためには一次産業を担う若い人財が欠かせないと思っていて。

星野 そうですね。

鈴木 子ども達が地元に就職するような循環を目指していますが、組織作りにはなかなか苦戦しているのが現状です。

星野 大事なのは、1歩でも半歩でも進めることですよ。1人が頑張っても1人分だけど、2人になったら3人分できるかもしれない。仲間と一緒に進めることで、格段にスピードが違います。

今では那須に当たり前のように小水電力発電所が稼働していますが、プロジェクトを始めた当初の私には小水力発電所の開発というビジョンだけがあっても、右も左もわからない知識ゼロの状況でした。

鈴木 今では那須の小水力発電の第一人者である星野さんも、最初は手探りだったんですね。

星野 開発のために東京電力を相談訪問した時も、会議で何を言われているかもわからなくて。必死にメモを取りました。帰宅後に助言いただいた単語を辞書で調べたのに、ヒヤリングメモそのものが聞き取れていない状態で間違っていたようで、それでもそれほど分からなかったレベルです。(笑)

鈴木 そうだったんですね……でも、そこで諦めなかったと。

星野 そうですね。それでも出来ないなりにしがみついて続けていたら「星野はしょうがないな……」って、見かねた技術や知見を持つ人たちが知恵や力を貸してくれました。そのおかげで翌年には300kWもの発電できる発電所の立ち上げができたんですよ。

鈴木さんにとって農業は未開拓の分野かもしれないけど、「那須モデル」という掲げた目標を曲げずに目指し続けていれば、その努力している姿を見て仲間になってくれる人がいると思うんです。私もそうでしたから。

鈴木 私の原点は、やはり生まれ育った地域を豊かにしてくれた先人への憧れなんです。星野さんもその一人です。これからは、そのバトンをしっかりと受け継ぎ、私自身が那須モデルをさらに発展させるために尽力していきます。

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