【里山仕事ラボ】地域資源を活かすこれからのローカルワークとは?GOOD NEWS代表 宮本吾一×鈴木電機代表 鈴木大介 対談レポート

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GOOD NEWS代表宮本吾一×鈴木電機代表 鈴木大介対談

那須高原の豊かな自然の中で、地域に根ざした事業を展開する二人の経営者、GOOD NEWS代表の宮本吾一さんと鈴木電機代表の鈴木大介さんによるオンライントークイベント「【里山仕事ラボ|栃木県・那須編】GOOD NEWS 代表×みらい電力代表と考える!働く・暮らす・楽しむをつなぐ未来の地域づくり」が開催されました。参加者は学生から社会人まで幅広く、那須・東京・北海道など全国各地からオンラインで20名が参加し、熱気に満ちたイベントとなりました。

今回の対談では、ともに「持続可能な那須」というビジョンを描くお二人が、地域資源を活かすローカルワークの未来について、熱く語り合いました。

GOOD NEWS代表宮本吾一×鈴木電機代表 鈴木大介対談
宮本吾一

株式会社GOOD NEWS代表。1978年、東京生まれ。20歳でオーストラリアへ渡り、帰国後は那須高原に暮らす。国内・ヨーロッパでの旅を経て、2004年リアカーコーヒー「UNICO」を開始。翌年ハンバーガー専門店を開業。2008年から「Organic Party」「那須朝市」といったマルシェを開催。2014年に「Chus」を開業。2022年7月には、複合施設「GOOD NEWS」をオープン、“サステナブルアクションに取り組むまち”として、「バターのいとこ」「BROWN CHEESE BROTHER」など自社プロダクトショップの他、各地の人気店が集まる。

鈴木大介 / 鈴木電機株式会社および那須野ヶ原みらい電力株式会社 代表
鈴木大介

鈴木電機株式会社および那須野ヶ原みらい電力株式会社 代表
1979 年那須塩原市生まれ。武蔵工業大学(現:東京都市大学)卒。博士(工学)。 2017年 鈴木電機株式会社の代表取締役社長に就任。 2022 年 那須野ヶ原みらい電力株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。特定非営利活動法人 1000 年の森を育てるみんなの会の代表も務める。

那須で事業をおこなう二人の共通点

——まずはお二人の事業について簡単にお伺いできますか。

宮本吾一さん(以下、宮本):栃木県・那須高原で「GOOD NEWS」という会社を経営しています。酪農家さんを応援したいという想いから、バターを作る際に副産物として生まれるスキムミルクを活用した「バターのいとこ」というお菓子を製造・販売しており、全国に向けて展開しています。

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バターのいとこ

また私たちは、「農・福・観(のうふくかん)」という考え方のもと、農業・福祉・観光の三つの分野を立体的に組み合わせることで、地域の中で豊かな事業がおこなえることを目指しています。そのため、お菓子の製造には、障がい(ハンディキャップ)を持つ方や地域のお母さんたちにも携わっていただいています。

活動内容については、ホームページやアプリといったオウンドメディアを通じて発信しています。お菓子をご購入いただくことが、結果的に森の保全にもつながるような仕組みになっていて、お客様を巻き込みながら、取り組みの輪を広げていけたらと考えています。


鈴木大介さん(以下、鈴木):鈴木電機の代表を務めております鈴木です。弊社は創業80年を超える電気・設備工事の会社で、もともとは那須の田んぼに地下水を汲み上げて供給するところからスタートしました。

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鈴木電機

現在は「那須野ヶ原みらい電力」という、電力の地産地消を目指す地域密着型の電力事業も行っています。加えて、「1000年の森を守るみんなの会」というNPO法人も運営しています。そこでは、地域の森を守るための間伐活動を行っており、地域の方々や子どもたち、行政と連携しながら取り組んでいます。

那須はもともと水資源が乏しい土地柄ですので、水を育む山や森をどう守るかが非常に重要なんですね。森づくりの一環として間伐を進めるだけでなく、出てきた木材の有効活用についても模索しており、持続可能な地域づくりに貢献していければと思っています。

——お二人とも「那須」という場所に根ざして活動されているわけですが、今のお話を聞いて、共通点や感じたことなどありますか?

宮本:鈴木さんが森を守る活動をされていることにとても共感しました。実は、私たちの製造工場は森の中にあるんです。ただ、工場を建てる際に、1万5,000坪の森のうち5分の1をどうしても伐採しなければならず、そのことには大変悩みました。

GOOD NEWS NEIGHBORS

ソーシャルグッドな取り組みをしようとして始めた事業で、森を切るという矛盾に直面し、工場建設そのものをやめようかと本気で考えたこともありました。でも最終的には、「管理されない森よりも、小さくても人の手で管理され、守られている森の方が、多様性を持てるのでは」という仮説を持って、一部を伐採して工場をつくり、残りの森を守る方向に舵を切りました。

環境保全と経済活動の両立って本当に難しいのですが、鈴木さんのお話を聞いて、すごく興味深いなと思いました。


鈴木:そう仰っていただけて嬉しいですね。宮本さんの「人が関わることで森が活性化される」という考え方には、私もすごく共感しています。私たちのNPOでは「皮むき間伐」という手法を用いていて、これも人の手を加えることで森に光が入り、多様性が戻るという考え方なんです。

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皮むき間伐の様子


宮本:そうした視点って大事ですよね。日本には昔から「里山」という自然観がありますよね。人間も自然の一部であって、共生していくという考え方です。これからの地域づくりにも、そういう視点が欠かせないと感じます。

鈴木:本当にそう思います。里山のように人と自然が共に生きる関係性を築いていくこと、それがこれからの理想の地域像だと私も考えています。

「地域資源を活かす」ことの可能性

——「地域資源を活かす」というのも、今回のトークのテーマのひとつですが、宮本さんは那須の酪農やスキムミルクの活用、鈴木さんは那須疏水や家畜ふん尿によるバイオマス発電、間伐材の活用など、それぞれ“地域にあるもの”を最大限に活かした事業を展開されていますよね。

宮本:那須には、まだ活用されていない「余白」がたくさんあると感じています。それぞれの地域資源を組み合わせることで、新しい価値を生み出せる可能性を秘めているのではないでしょうか。
鈴木:それぞれの事業が単独で動くのではなく、連携することで生まれる相乗効果は確かにありますよね。そしてそれが地域ならではの強みでもあると思います。地域資源をうまく組み合わせて活用すれば、単独では難しかったことも、きっと実現できるはずです。
宮本:たとえば、うちのお菓子と鈴木さんの小水力発電を組み合わせたら、すごく面白い体験ができそうですよね。エネルギーと食をつなげて、新しい学びの場をつくることもできるかもしれない。

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鈴木:素敵ですね。そうやって地域資源をつないでいくことで、可能性は本当に無限に広がっていくと思います。

「ロマンとそろばん」という考え方

——地域資源を上手く活かして新たな価値を生み出していくというお話がでましたが、どのようにすればその取り組みを持続させていけるのでしょうか?

宮本:やはり「経済性を担保すること」が大切ではないでしょうか。僕は「ロマンとそろばん」という言葉が好きなんです。理想(ロマン)と経済性(そろばん)の両立という意味ですが、地域ビジネスにおいては、どちらか一方だけでは成り立たないと感じています。地域への想いだけでは事業は続きませんし、かといって利益だけを追求してしまえば、地域の魅力は損なわれてしまいます。そのバランスがとても重要だと思います。

鈴木:私も資本主義と共感主義の狭間で葛藤することがあります。利益を上げることはもちろん大事ですが、それだけではなく、地域への貢献や社会的な意義も大切にしたい。でも、その両立は簡単ではありません。地域ビジネスでは、経済的な側面と社会的な側面の両方のバランスを意識しながら進める必要があると常に感じています。

実際、地域の仕事では採算が合わないことも少なくありません。でも、「地域のためになるから」と続けていくうちに、やがてそれが新しい価値を生み出すこともあります。そうした新たな価値を商品化したり、観光のきっかけにしたりすることで、地域経済が少しずつ回っていく。そんな仕組みをつくれたらいいなと、常々考えています。結局のところ、利益が出なければ継続はできませんから。

宮本:そうですね。最初は「ロマン」が先行してもいいと思うんです。でも、続けていくにはやはり「そろばん」も必要になってくる。その両方が揃って、ようやく地域ビジネスは持続可能なものになります。

最近では、クラウドファンディングのあり方も変わってきたと感じています。以前はリターンを目的に支援する人が多かった印象ですが、今は「この人を応援したい」という共感や夢に対してお金を出す人が増えてきているように感じます。とくに若い世代を中心に、価値観が大きく変わってきているのかもしれません。これからの地域ビジネスにおいて、「共感」はますます重要なキーワードになると思います。

鈴木:共感を得るためには、ストーリーを語ることが大切だと思います。なぜこの事業を始めたのか、どんな想いがあるのか。そうした背景を丁寧に伝えることで、人々の心を動かすことができるのではないでしょうか。

宮本:まさに仰る通りです。ストーリーに共感した人たちが、商品やサービスだけでなく、その事業そのものを応援してくれる。そんな流れが生まれてきていると感じます。

「自分の幸せ」と「地域の幸せ」を繋ぐこと

——これまで、地域資源を活かしたローカルワークを発展させるにはどうすれば良いかというお話を伺ってきました。では、那須地域の「幸せな未来」を描いていくために、今何が必要だとお考えでしょうか?

宮本:私は、「続けること」が一番大切だと思っています。事業も、健康も、何事も続けてみなければ結果は見えてきません。諦めずに続けることで、見えてくる景色があると思うんです。

鈴木:「続ける」というのは重要なキーワードですね。私の会社は今年で創業80年を迎えます。今の暮らしがあるのは、先人たちが築いてくれたおかげですし、それを次の世代にきちんと繋いでいきたいという想いが強くあります。子どもや孫たちの時代にどうバトンを繋ぐか。私は勝手に、自分がそのバトンを受け取っているという気持ちで仕事をしています。那須らしさをもっと追求して、次の世代に良い環境を残す。それが私たちの使命だと思っています。地域への感謝を忘れずに、未来へと繋げていきたいですね。

GOOD NEWS代表宮本吾一×鈴木電機代表 鈴木大介対談

宮本:素敵なお話ですね。僕は、富山県の岩瀬という町にある「満寿泉(ますいずみ)」というお酒を造る増田酒造店という酒蔵の取り組みにとても感動したことがあります。そこの蔵元さんは、自分の資金を投じて美しい町づくりをしているんです。電柱がなく、電線が屋根伝いに張られている美しい町並みがあって、各町屋のオーナーさんと地道に合意形成を重ねて実現したそうなんです。そして何より感動したのは、「この町をつくったのは、自分の奥さんのためなんです」とおっしゃっていたこと。地域のためではなく、自分の大切な人のために始めた町づくり。それでいいんだと思いました。

「幸せは他者にある」というのが私の信条なのですが、自分の幸せの延長線上に、地域の幸せがある。それは決して切り離せるものではないのだと感じています。

鈴木:本当にそうですね。自分の幸せを追求することが、結果的に地域の幸せにも繋がっていく。そんな好循環を生み出せたら素敵ですね。

宮本:そのためには、まず自分自身が幸せであることが大切だと思うんです。自分が満たされていなければ、周りの人を幸せにすることはできませんから。

鈴木:そうですね。だからこそ、自分の心の声に耳を傾けて本当にやりたいことを追求することが、地域を幸せにする第一歩だと思います。

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トークイベントでは、参加者からも質問が投げかけられ、お二人は一つひとつに丁寧に耳を傾けながら、ご自身の経験や想いを語ってくださいました。対話を通じて多くの共感や気づきが生まれ、終始和やかな雰囲気に包まれていました。

那須の事例は、他の地域にも応用できる普遍的なヒントに満ちています。それぞれの地域が持つ「余白」を見つけ、地域資源を柔軟に組み合わせることで、新たな価値を生み出すことができるのだと、改めて教えてくれました。

そして、自分の幸せと地域の幸せをつなぐこと。その視点こそが、これからのローカルワークを考える上で大切なキーワードになるのではないでしょうか。

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