3班 福永 球馬 岡田 愛莉 大屋 孝三
私たちは島根県立大学の地域政策学部に所属している学生です。私たちは地域づくりに関心を持ち、今回の国内研修に参加しました。研修の中で、8月7.8日の2日間、瀬戸内国際芸術祭を訪れました。このブログでは、芸術祭の作品を通して私たちが感じたこと、考えたことを記していきたいと思います。
瀬戸内海にあるたくさんの小さな島々を舞台に、現代アートの展示やイベントを行う国際的な芸術祭です。初開催は2010年でそこから3年に1回(春・夏・秋の3会期に分かれて開催)のペースで開催されています。主な目的として、「過疎化が進む瀬戸内の島々を元気にすること」「アートを通じて人と地域をつなぐこと」「瀬戸内の美しい自然や文化を世界中の人に知ってもらう」などが挙げられます。
芸術やアートというと、作者の意図をくみ取って作者の思った通りの美を感じるというイメージがあり、これまであまり芸術に触れることのなかった私たちが、それを感じることができるのかかなり不安がありました。
高松港から船に揺られ40分ほど進むと、男木島に到着しました。瀬戸内海は、波が緩やかで、とても快適な船旅ができました。男木島は人口わずか100人程度ととても小さな島ですが、独特の文化や風景で多くの人を引き付けています。
男木島に到着すると、最初の芸術作品であり、男木島のシンボルである高松市男木交流館が出迎えてくれました。高松市男木交流館の屋根は、なんと8か国の言語が描かれています。最初は、なにかわかりませんでしたが、わたしなりに「外国人の方でもどんな方でもウェルカムだよ」というメッセージ性があるのかもしれないなと解釈しました。 
続いて訪れた作品は大きなたこつぼの作品です。作品名は「タコツボル」というものでした。中に入って、遊べるようになっており、私がこの作品を通じて感じ取ったのは「男木島でさかんであったたこつぼ量を今の若い子たちにも知ってもらいたい」という思いでした。実際に私も中に入ってみて楽しむとともに男木島の伝統に触れることができた気がしてとてもよい経験になりました。
続いては、「麦と未来の資料館」です。こちらは、100年後の男木島をテーマにつくられている作品でした。が、、、なんと昔ながらのビールや時代を感じるポスターなどがあり、正直僕には理解が難しかったです。しかし、芸術の解釈は人それぞれ。わたしはこの作品から「歴史は繰り返す」ということを感じました。
男木島最後に訪れた作品は、「男木島パビリオン」です。この作品は紙管でできている建物で、高い場所にあるため男木島と瀬戸内海を同時に見渡すことができます。この景色と窓ガラスに描かれている絵が相まって、まるで海の中に立っているような気分になりました。 
今回瀬戸内芸術祭の会場になっている島の中では、かなり小規模な島である男木島。しかし、そこにはたしかに住民たちの想いや、男木島の魂を感じさせる作品たちがありました。
男木島からフェリーで女木島に渡り、たった20分ほどで到着しました。
女木島に着くと、カモメのアートがお出迎えしてくれました。
「そのカモメは、ウミネコで風が吹くとニャーっと鳴く」
「風が吹くとガガガっという音が鳴り、それがカモメが鳴いている声」
一つの作品から全く違った捉え方がされていました。 
女木島の洞窟は桃太郎伝説と名付けられて世に発表され、女木島は桃太郎に登場する「鬼ヶ島」のモデルになった島として一躍有名になりました。そして今日まで高松から気軽に訪れることが出来るリゾート地として親しまれています。
私がとても印象に残ったのが、「女木島人口増加計画~あなぐまち入居者募集中~」という作品でした。作者が幼少期のころから生み出した「あなぐまち」は、物や自然が人間と同じように命を持ち、生活を営む理想郷。作者が滞在中に出会った物や自然が、対話を重ねながら団地を入居し、会期中も女木島の人口は増加していきます。
団地に住んでいる一人一人のキャラクターに丁寧なストーリーが書かれており、それを読むと、実際に住民がそこに住んでいるかのような感覚を覚えました。作者の創造力や優しい心、そして物語によって命を吹き込まれた世界観に強く惹かれました。文字やイラストがより読む人を引き込ませていると感じました。これは私にとって初めての新しい感覚でした。実際には存在しない町でも、人の想いによって生き生きとした現実味を帯びる、それが芸術の力であると思いました。
学校全体が芸術作品になっているところにも鑑賞しました。建物全体がアートになっており、校舎の一部だけでなく、壁や床の細部に至る繊細な作品でした。まるで絵本の中に迷い込んだ不思議でワクワクする空間でした。
その中には、小さい子供も楽しめるような音が鳴るブランコがありました。実際に乗って音を鳴らす面白さ、美しいブランコを見て感動する、子供も大人も自然と笑顔になれる作品でした。音は決して派手ではありませんでしたが、ブランコをこぐたびに奏でる音色が、とても軽やかな気分にさせてくれました。 
小豆島に行くために、高松港から土庄港で1時間のフェリーに乗船しました。 フェリーには、売店があり、お菓子やお土産の他に、香川名物のうどんが2種類売られていました。やはり、有名な香川で食べるうどんは、とてももちもちとした歯ごたえで、汁まで美味しかったです。 
エンジェルロードは、潮の満ち引きで砂の道が現れたり消えたりする人気スポットです。時間があまりなかったため、じっくり過ごすことが出来ませんでしたが、干潮の時間だけ訪れるその姿はまるで奇跡のようでした。海は、澄んでいて大変きれいでした。
また、エンジェルロードは「大切な人と手をつないで渡ると願いが叶う」というロマンチックな言い伝えがあります。こうしたことが人々を惹きつけ、訪れた人の思い出に強く残る体験になっていると思いました。ただ美しい景色を見るだけではなく、体験が加わることで、場所が特別な意味を持つのだと気づきました。観光地は景色に美しさを感じて終わり、だと思っていました。そのため、これからの観光では、観光地のことについてたくさん調べ、体験という新しい楽しみ方をしていきたいと感じました。 
そのフェリーは、とてもきれいで落ち着きある内装でした。小豆島を舞台にしたアニメとコラボしており、至ることにアニメのイラストが展示してありました。
世界的に有名な台湾のアーティストである、ワン・ウェンチー(王文志)さんの『抱擁・小豆島』。美しいドームの内部に入ると、竹できた素晴らしい空間が待っています。その空間は、島や地球で生きていることを実感させてくれました。そこは涼しく、ゆったりとした時間が流れていました。そこで私は、幼い子供たちが頑張って歩いているところを眺めていました。メンバーのところまで子供の一人が歩いたり、周りの人に手を振っている様子など、ほほえましいのんびりとしたひと時でした。芸術が人と自然、人と人との間にゆるやかなつながりをつくってくれることを、肌で感じることができた瞬間だった。
さらに小豆島を歩いていると、島の人々が観光客に気さくに声をかけてくれる場面にも出会いました。地元住民のかたから「どこから来たの?」と言われたり、港でフェリーを案内してくれる人が笑顔で話しかけてくれたりしました。芸術祭の作品そのものだけでなく、島に住む人の優しさやもてなしの心もまた、強い印象として残りました。これらのふれあいも、まさに「想いの美」のひとつだと感じます。
今回の国内研修を通じて、私たちは瀬戸内国際芸術祭における「想いの美」との出会いを多くの場面で体感することができました。芸術祭の作品群は単なる鑑賞物にとどまらず、島の人々の記憶や暮らし、そして訪れる者への温かい気持ちが形となって表れており、その一つひとつに込められた想いの深さを実感しました。いずれも表現方法は異なりながら、人と人、あるいは人と地域をつなぐ媒介となっていました。現代アートを通して「人の想い」「地域の魅力」、そして「芸術の役割」について深く考える機会を得ました。研修のテーマは「想いの美」。その言葉通り、目に見える美しさだけでなく、作品の背景にある製作者の想いや、地域に根差す文化や歴史、人々の暮らし、そのすべてが作品を通じて伝わることで”美”を感じるのだということに気づきました。
こうした体験を通じて感じたのは、芸術祭が地域に根づく文化や自然を新たな形で再発見させ、そこに暮らす人々の誇りを外に示す役割を果たしているという点です。訪れる私たちは、作品をきっかけに島の記憶や思いを共有し、地域の一員として一時的に関わることができました。つまり「想いの美」とは、作品の美しさそのものだけでなく、それを通じて広がる関係性や対話の中にこそ宿っていると気づかされました。
今回の学びを今後の地域づくりのヒントとして、ただ地域の魅力を「発信する」だけでなく、「想いを受け取り、育てていく」関わり方を意識していきたいです。
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